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マクガフィンズによせて

ギジレンも10月、12月の公演を控え、準備に、執筆にといろいろ忙しくしていますが、そんな最中にもわたしは客演先の稽古でドボドボ汗をかいています。3代目汁なし担々麺のメインボーカル・SATOです。
 
汗で稽古場を臭くしても怒らない、この寛大な劇団は「MacGuffins」という劇団です。
 
6/20~6/25の本番も迫ってきて、そろそろツイッターでモリモリ告知をしたり、おともだちのみんなに来てね~っていうLINEをしたりしなきゃななんて思いまして筆を取りました。
 
「おもしろいよ!来て!」とだけ言って来てくれる人はいいですけど、なんかもっと、誠意のこもったこと(?)は言えないものか、興味を持ってもらえるようなことは言えないかと思って考えているうちに、ツイッターにはとても収まりきらない文字数の想いが湧き出てきたので、おとこもすなるブログというものをしてみんとてすなり。
 
次の「私のステータス低すぎ大戦」でわたしは三度目のMacGuffins出演となります。なんつータイトルだしかし。
 
MacGuffinsに出る前にも、この劇団の作品は何度か観たことがありました。笑えて、ストレートで、爽やかで、テンポが早くて、役者がビチョビチョ。そんな印象でした。
あとチケット代が安い。これは最高。
 
 
出ることになったいきさつは本当にたまたまで、今は退団してしまった遠藤さんという役者さんにオファーをしたくて、会いに行くためにワークショップを受けに行ったんです。ワークショップオーディション。
 
はじめて演劇のワークショップというものに参加したのでそれはそれは緊張したんですが、あまりオーディションという気はしていなかったので、それはもうヤケクソで無茶苦茶やった記憶があります。でかい声だして床をのたうち回っていた気がします。ひどい。
 
で、そのオーディション結果は当然不合格で「そりゃそうだ」という感じだったんですけど。遠藤さんの話もさり気なくかわされちゃって。ヒー。
 
でもそのちょうど一年後くらいに、「マクガフィンズ出ない?」て連絡が来たんです。ビックリ。「オーディション受けに行けばいいですか?」て聞いたら「いや、あの時見たから大丈夫」って。ビックリ2nd。
 
あん時は合う役がなかったけど、妙に印象に残っててね。そんな風に言われて、嬉しいじゃないですか。そりゃあワーイ出ますってなりますよ。
 
「何度もすみません」という作品でした。
顔合わせ当日、ド緊張。
なんかあんまり記憶がありません。
 
しかも顔合わせの少し前に渡慶次(とけし)が、ちょっと読み合わせしておきましょうよって連絡してきたんです。彼、初対面ですよ。
 
顔合わせで様子見るか~と思ってたぼくは度肝抜かれましたよ。えっ、顔合わせでもそんな、要求されんの?読み合わせを上手くやるため、とか?もうパニックですよ。
それで記憶がないんですけど。
 
なんか、読み合わせもすごいスピードていうかテンポで進んで行くし、知り合いとかいないし、とにかく怖いな~と思ってガチガチのまま顔合わせが終わった気がします。
 
そして初稽古。
MacGuffinsは初稽古までにセリフ全部覚えてなきゃいけないんです。セリフ覚えてないと、ていうか芝居になってないと演出つけらんないし、すぐ通すからって。
 
いやわかるけど…初稽古までにセリフ全部覚えていくなんて初めてだったからこれまたガチガチ。セリフをそのタイミングに出すだけで精一杯の初稽古でした。
 
今思えばたしかにそんな状態の人に演出家が言えることなんてないんですよね。芝居になってないんだもん。そりゃそうだ。
 
それからの稽古もずっと緊張し通しで、全然うまくできませんでした。でもそれが罠だったんです。
 
これはあとでわかることなんですけど「うまくやろうとしてた」からうまくいかなかったんですよね。当時のぼくにはきっとこの言葉の意味もわからないんでしょう。
 
ぼくは怒られたくないとか、みんなの足引っ張りたくない一心で、勝手に「マクガフィンズではこうするべき」みたいな妄想を作り上げて、そんなありもしない理想像を追いかけて空回りしていただけでした。
 
演出の古田島さんは、本当に洞察力の鋭い人で、役者のことをなんでも見抜いてしまう人なんですけど、当然その時のぼくの状態を見抜いていたんです。
 
「この役はこうすればもっと魅力的だな」とか「このシーンはこう見せたいぞ」っていう中身が全くないまま、「テンポ崩しちゃダメだ」とか「たくさん動かなきゃ」みたいなことを考えてやってたわけです。じゃあなんでテンポ崩しちゃダメなの?って聞かれたら答えられない。当然です。理由もなくただそういうものだと思い込んでいたから。
 
それはそれは苦労しました。今日も怒られるかなって。たぶんちょっと痩せました。
 
その時は古田島さんのことも怖くて仕方なかったんですけど、ある稽古の帰り道です。
 
怖いけど聞いたんです、ぼくどうすればいいんでしょうって。
 
その時に古田島さんが言ってくれた言葉は、ぼくが芝居を初めてから今までもらったアドバイスの中でも最も鮮烈で、今ではぼくの信念にさえなっています。
 
たしかこんな感じでした。
 
 
「お前さあ、例えばゲームでもなんでもいいけどさ、ボスに立ち向かって行くとき自分の得意な武器とか、強い武器を使うだろ?お前の武器はなんだよ」
 
「たぶん…体をたくさん動かすことです」
 
「ワークショップの時見たお前の方がよっぽど魅力的だったよ。今のお前はさ、なぜかヒノキの棒でボスと戦おうとしてんだよ」
 
ハッとしました。あっ、誰も俺にヒノキの棒で戦えなんて言ってないじゃないかって。
 
なんで自分に出来ることを捨てて、自分じゃない架空の「上手い人」になろうとしてたんだろうって。それっぽくやろうとしてただけ。基礎もなにもないのに上手いフリしようとしてただけなんだって、その時はじめて理解できました。
 
その次の稽古からです、「もう怒られてもいいや。ていうか、怒られよう」そう考えて思いついたことをバンバン試しました。体が動くまま、好き放題に暴れました。
 
その時、稽古場の空気がたしかに変わりました。
 
 
「いいじゃん」
 
 
いつも重苦しく感じていた共演者たちの目が、笑っていました。
 
それからはアイデアもバンバン湧いてきました。スベってもいい。ていうかスベろう。そう思ってネタも思いつく限りぶちこみました。たくさんスベりました。でも同じくらい笑ってもらえました。
 
今までなにを遠慮してたんだろうって。急に稽古が楽しくなりました。
 
それから徐々に感覚が掴めて来た気がします。古田島さんの言うこともそれまではよくわかっていなかったのに、理解できるようになってきたし、現実的な課題が見えてきたり、自分の芝居のダメなところを自分で見つけられるようになってきて、「そうか最初から正解なんか出そうとするからダメなんだ。正解っぽいものを誤魔化しで提示したってすぐに見抜かれる。だったら最初は大暴投でいい。ただ、俺の投げたい球をぶん投げて、そしたらその球がどれくらいストライクに近いか、それは演出家と共演者たちが教えてくれる」そういう自分なりの答えにたどり着きました。
 
しかしこれは実は、言葉にして自覚していなかっただけで、それまでの客演先でも無意識にやっていたことだったんです。
 
 
獣の仕業のぐにゃぐにゃしたボーイや
コジョのチェシーレ
劇団GT!の天文台の長男サトシ
 
これらの客演先でははじめからぼくの得意なこと、を要求してくれていたから、ぼくは考えるまでもなくぼくの得意な武器。例えばなんか、オノ?を振り回せていたわけです。
無自覚に。
ヒノキの棒じゃ薪割りダイナミックはできないもんな。でもきっと古田島さんには、ぼくが無理してヒノキの棒を振っているのがすぐにわかったんでしょう。
 
そうして迎えた「何度もすみません」の本番はとても楽しかったです。達成感もありました。
 
そして次の「お願いだから殴らないで」では1コーナーほぼアドリブの「ジン」という役と、「欲望」という役をもらい、こいつはもう最初から得意なオノを持って全員殺すつもりでやってましたから、もう、いかに薪割りダイナミックにバリエーションをつけるかということに執心してましたから、めちゃくちゃ楽しかったです。
 
夢麻呂さんや、葉っぱさんみたいに、自分よりずっっと強い役者さんにも出会って「オノしか使えないのもなんとかしなきゃな」「薪割りダイナミック以外の必殺技も身に付けよう…」そんな風にも思いました。
 
 
そして今回の「私のステータス低すぎ大戦」です。なんつータイトルだ。
「何度もすみません」の稽古前半であれだけウワアウウウ…ってなってた自分が3回目も呼んでもらえたってだけで感慨深いんですが、いつまでも「薪割りダイナミック」だけじゃまあ、芸がない。
 
いや「薪割りダイナミック」を要求されてるっていうのもわかるんですけど、その一歩先に、一歩先にいい例えが思いつかないですけど。ていうか薪割りダイナミックさえ例えとしては意味不明なんですけど。
 
自分が得意なこととか、自分がしたいことは優先すべきです。でも自分ばっかり気持ちよくなってる役者ってやっぱり悪目立ちするし…もっと全体の中での役割とか、自分がどう演じれば次のシーンが、ひいてはストーリー全体にどういう効果が現れるか。そういうことを一層考えるようになりました。
 
人の芝居に今まで以上に気づけるようになって…こうして建てたのがあのトランプタワーです。そんな感じの自慢話みたいになってきちゃってイヤだなこれ。
 
自慢が主じゃないんです。MacGuffinsに出会って私はこういう成長ができましたっていう、そういう話がしたかったんです。
 
この「私のステータス低すぎ大戦」をもってMacGuffinsは活動休止期間に入ります。本公演、という形での公演をしばらく打たないそうです。もしかしたら最後かもしれません。
 
古田島さんの言葉を借りれば、長く走り続けるために今少し休む、と。
みんなの生活や、家族や…これからや、色々理由はあると思います。ぼくの知らない理由の方が多いと思います。もしかしたらずっと考えていたことなのかも。
 
でもMacGuffinsがその猛ダッシュを一度止めて、少し息つくその直前3作品に連続で起用してもらえたことは余りある光栄だし、手向けじゃないけど、精一杯の花束として全力で芝居ができれば。そう思います。
 
「私のステータス低すぎ大戦」はお客様だけでなく、MacGuffinsのために。
 
 
MacGuffinsの、箱2つのシンプルな素舞台に、役者の全力疾走を見ていていつも感じることがあります。演出の古田島さんは役者の、もっというと人間の力を信じているんだなと。もちろん演出家だから、構図で見せたり、音響を流したり、明かりで照らしたり、そういうことも考えますけど、なにより役者が嘘をついたり、ただセリフを出すだけの機械に成り下がるのをすごく嫌います。
 
だからこそ役者のちょっとしたコンディションとか、テンションとかにもすごく出来が左右されるんですけど…。
 
彼の演出のもと、MacGuffins3作品を通じてぼくは役者としてとても成長したと思います。これは財産です。(もちろんまだまだこれからですが)
 
これはまったくぼくの思い上がりですが、なんとなくMacGuffinsとぼくが河原を並んで走っていて、MacGuffinsが立ち止まるその直前に、ぼくの背中を押して前に送り出してくれたような、そんな風にも思うのです。
 
 
「私のステータス低すぎ大戦」のテーマは生まれ変わること。
 
生まれ変わりは、別人になるとか、人生をやり直すとかそういうことではなく、もっと些細な気づきとか、心構えのこと。
 
 
観に来てくれよな!
 
 
 
「私のステータス低すぎ大戦」
 
MacGuffins「私のステータス低すぎ大戦」
 
◯会期
6/20(水)~6/25(日)
 
 
◯劇場
池袋シアターKASSAI
 
 
◯チケット
前売当日 2500円
リピート 1000円
 
 
◯おはなし
 
ある日突然、国民全員のステータスが国によって管理されることになった!
通知表に踊る『★2 彼女あり』『★4 物理◎』『★1 遅刻癖』などの記述。
 
突然始まった『ステータス制度』は、
そのゲームっぽさがウケて若者を中心に一躍社会現象となり、
国家制度としては異例の速度で爆発的に普及した。
 
街では今日も行き交う人が、自分と他人のステータスに一喜一憂している。
『★6 玉の輿』を狙う『★1 性悪』な彼女!
『★7 世界的スター』を夢見る『★1 ヒモ』な彼氏。
それらを遠目に眺めるおれは、
『★1 負け運』のステータスを持つ、平均以下の男。
 
流れ流され生きてたせいか、それとも不幸な星のもとにでも生まれたか、
気づけばおれはクズとなり、最下層へと転落した。
 
そこでおれを待っていたものは、
史上類を見ない『ステータス』による大戦。
戦いの火蓋は、切って落とされた!
 
 
◯タイムテーブル
 
2017年6月
20日(火) 19:30
21日(水) 19:30
22日(木) 19:30
23日(金) 19:30
24日(土) 13:00/18:30
25日(日) 13:00☆/18:00☆ 完売…
 
☆=水越健出演回
 
 
ぼくの役はスーパーヒーローの「ステータス・マックス」です。
クズのはびこる街スターダストシティの平和を守るため、マックスは日夜戦っています。
つまり主人公ですね。
 
 
ご予約はココから!
 
https://ticket.corich.jp/apply/81633/011
 
  
 
電話なんかやめてさ、池袋で会おうよ
 
 
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プロフィール

guizillen(ギジレン)

Author:guizillen(ギジレン)
guizillenとは?
2014年秋口に結成した手作り劇団。
メンバーは佐藤、門田、渡辺、片腹、オノ。
2014年末に第1llen
「センチメンタル・ジャーニー」でスタンディングオベーションに包まれて華々しくデビュー。
2015年5月に第2llen「非現実の王国」、2015年12月に第3llen「真鍮の月」にて着々とコアなファンを獲得している。2016年8月には第4llen「土木座」を満員御礼にて終了。12月には第5llenを公演予定。