こんにちは。
腹筋ローラーたった3コロしただけで筋肉痛になってなぜかお腹まで壊しました。佐藤です。
前回の終演後記から随分時間が経ってしまいました。もう誰も覚えてないんじゃないかしらと少し不安な気持ちもありますが、書くと言ったからには書きます。佐藤です。
思うに堕落というものは宿主を探してさまよう寄生虫のようなもので、宿主がやらなきゃやらなきゃ、書かなきゃ書かなきゃと思っていても、やれ忙しいだの、やれ夜勤で疲れているだの、寒いだの、挙げ句にはお腹が空いているだのとそういう甘いにおいを嗅ぎ付けて、這い寄ってきて体内に居座ります。一度安住の地を見つけるとそうそう外には出て行ってくれません。そのうち毒ガスのようなものを出して、そもそも誰もそんなことは望んでいないとか、生きるために必要でないとか、そういう風に考えるように仕向けて、いっそう居心地の良い巣穴に仕上げていくのです。ときおり優しい人が「次の公演楽しみにしてるよ!」などと声をかけてくれたりすると、一瞬ひるんでなりを潜めたりしますが、落ち着くとすぐに我が物顔で巣穴を占領するのです。
そうして気づけば夜勤に出かけて、帰って来るとほとんど自動運転のように酒を注ぎ、飲み、酔った自覚もないまま眠りにつき、モソモソと起き出してはまた夜勤に行く。そうやって虫にエサを与えて肥らせながら、自分の寿命を費やすような、そんな時間を過ごしておりました。
ダメだダメだと思っていても、体の主導権はもうほとんど寄生虫にやってしまっていたので、どうすることもできず・・・
しかし今ようやっとオンボロパソコンの前に座り、足先が冷えるのを耐えながら文字を打ち出しています。虫はさっきから必死にガスを出して、ジャックダニエルが呼んでいるよホラホラと仕向けますが、大丈夫。実はウィルキンソン炭酸の1リットルボトルを2本買ってきてしまってはいるものの、大丈夫。創作の日々に帰ろう。辛く苦しくひもじいけれど楽しい創作の日々に。チョコフレークも呼んでいる。このブログはそのための開戦のホラ貝じゃ。ウォ〜〜〜。
21世紀になって、そして大人になって「まずいメシ」を食べる機会は減りました。そこかしこに安くてうまいメシ屋があって、嫌いなシイタケを強要してくる大人もおらず、慎重でありさえすれば、好きなメシだけを口にして生きていくことができます。それでもたまにまずい、ないし嫌いな食べ物に行き当たってしまうことがあります。すき家の新メニューです。
夜勤をやっていると、その帰りしなにどうしてもお腹が空いて耐えられない。でもスーパーも飲食店もほとんど開いておらず、牛丼屋さんしか選択肢がない! そういうことがままあります。
そして吉野家、松屋に飽きた頃、ついついすき家に入ってしまうのです。久方ぶりに訪れるすき家には大抵新メニューのノボリが出ていて、本当はそこまで興味があるわけでもないのに、かといってどのメニューを食べたところで大した感動も、いやそればかりか「おいしい〜」という感想も抱くことなくただ作業的に空腹を満たすだけ・・・そんなのはいやだ。という気持ちから、一縷の望みをかけて、おいしいかもしれない。知らないすき家を教えてくれるかもしれない・・・と祈りにも似た気持ちで新メニューを注文します。そしてひとくち目で後悔します。いつもこのパターンだ。
どうして大人しく山かけとろろ牛丼にしておかなかったんだ! 三種のチーズ牛丼に・・・!
いや別に山かけも三チーもそこまで好きというわけじゃないけど、それならこんな風に「うわ・・・」と思いながらむりやり食べるような真似はしなくてよかったし、それでも残すのはお百姓さんにも店員さんにも、さっきまで時給1000ん百円で働いていた自分にも申し訳が立たない! クソ!! こんなことなら最初から吉野家にしておけばよかった!!
とこんな風に、なんなら美味しいものを食べたときよりも感情が炸裂します。悪い方に。
人間というのは、いえすみません主語が大きすぎました。
私というのは、つい24時間の内の幸福度のバランスを取ろうと行動してしまうのですが、例えば簡単な例を挙げるならまずいメシを食べてしまったのでせめて美味しいデザートをとか、寝坊してしまったので今日は遅くまで頑張ろうとか
ウソです。書いててウソだなと気づきました。全然良い例えじゃなかった。だっておいしいものを食べて嬉しくなってもまずいデザートは食おうとしないもんな。なんて言うんでしょう。とにかく、負けを取り返そうとしてしまう性質がありまして、まずいメシを食って幸福度を下げてしまったからには、なにか良い思いをしたいとか、ちょっとなにか頑張ってやり遂げて、今日一日の自分を褒めて締めくくってやりたいとか、そういう行動原理(?)です。動機です。レゾンデートルがあるんです。
なんの話かって、ギジレン5さいが終わってからというもの、まるで抜け殻のように、腑抜けてしまっているうちに堕落虫に取り憑かれて、どうにも頭も体もシャキッとしなくて、鬱屈とした日々を送っていたのが、さっきすき家でまずい新メニューを食べてしまってそれが悔しくて悔しくて、あんまり悔しいもんだからこの悔しさに勝つために、自分の為すべきことをしよう。正しく生きよう。人生を後悔しないようにしようと発奮していまこのブログを書いているということです。ありがとうNYポーク丼。ガビガビのご飯。石かと思った。君のおかげで前に進める。随分スタートが遅くなってしまったけど、ギジレン2020、開幕です。
●ギジレン島最後の7日間についておそろしくどうでもいい割に引くほど長い前置きを書いてしまいましたが、これは終演後記でした。
もはや遠い過去の出来事のようで、当時の情熱とか、想いとか、そういうものをフレッシュに書けるかどうか・・・書きながら探らせてください。
思い出したことから触れていきますね。
・タイトルの「7」はアラビア数字の7漢数字じゃないんです。過去に「七月の歯車」という公演をやりましたが、こっちは漢数字の「七」でした。
うわ、すごくどうでもいい。でもこれが最初に浮かんできたんですごめんなさい。
「七月の歯車」のときは字面の美しさから、ギジレン島では「カウントダウン感」を強調するためにアラビア数字を正式表記としていました。正式表記といえば、ほとんどの方が「ギジレンとう」と読んでいましたが「ギジレンじま」が正しいです。一応日本の地名なので「〜じま」の方がそれっぽいし、かわいいなと思いまして。
・超能力も魔法もないギジレン
割とレアな作風だったねとよく言われます。たしかにいつものギジレンではよく断りなしに超能力が出てきたりするし、登場人物がすごくあっさり死んでしまったり、なのに次のシーンにしれっと登場していたり、そういうことがよくあるのですが、ギジレン島では流星群が北海道を消滅させたり、海が真っ赤だったり、ビールがひっくり返してもこぼれなかったり、携帯の電波がなかったり、突然オーロラが輝きだしたり、そういうことはありましたが、それ以外は割と普通でした。普通の島の、普通の人たちが暮らす普通の日々のお話だったように思います。あいみょんが流行ってる。
だからかなんとなく、いつもより普通の人たちの普通の気持ちについてたくさん考えて書いたような気がします。会話劇っぽかった気が、します。長い脚本になってしまったので、それは大変でしたが楽しかったし、なにより感情移入して演じてくれる俳優さんたちが愛おしかったです。みんななんていい人たちなんだ。
そういえば、観に来てくださる方達が「どういう心構えで行ったらいいかわからない」とおっしゃっているのをたまに聞きます。今回は超能力はあるの!? 人は死ぬ? といった具合に。私があんまりネタバレを気にしない質なので、なるべく事前に出せる情報は出しておきたい、と考えてはいるのですが(実際5さいで上演した演目はなが〜いあらすじや、年代果林さん考案の『こんな作品ですシート』に添った作品説明を事前に公表しておりました)わかりやすく「なんとかレーベル」とか「なんとかテイスト」みたいにカテゴリ分けした方がいいんですかね。うちのスエヤスも「辰海さんの脚本だとバカ系が好き」って言ってたし・・・。
「笑える?」と聞かれても「笑えます!」っていうのはちょっと恥ずかしいんでなんとも言えないし、「泣ける?」と聞かれても私はギジレンの作品で泣いたことがないのでちょっと、わかんないです。あ、ダメだ向いてない。カテゴリ分けする? とか言っておいてなんですがたぶんしません。自分の感性が信用ならんのでしません! 出演者さんたちに任せます!
・Q「どうして野球部のキャプテンはバットで人を殴ったの?」
という質問を数名からもらったのを思い出しました。「バットは人を殴るもんじゃねえ!」「神聖なバットを、血なまぐせえことに使うな」と言って復讐鬼「タオ/きらら」ちゃんを諌めようとしていたキャプテンが、刃物を振り回す凶行に出た部員「菊川/黒岩」のことをバットでぶん殴ったのは何故!? という質問ですね。
ある方は「自分の信念を曲げてでも『菊川/黒岩』の凶行を止めたかったんだ。キャプテンとして、部員の行動に始末をつけたかったんだろう」とおっしゃっていました。好意的な解釈・・・
答えはシンプルに野球部のキャプテンがわんぱくチンパンジーなのでものごとを深く考えていない。です。自己中心的な性格の表れだったりもしますが、もっと簡単に言うとただのギャグです。
でもお客さんはだれも笑ってませんでした。自分の感性が信用ならん2(ツー)
・Q「どうして通り魔『青海/神近』は制裁を受けないの!?」
これも割と見た感想です。人生の意味やら恋のモヤモヤから島民数名を刺殺するに至った「青海/神近」さんがなぜ罰せられず、最後のシーンで島民たちと一緒にいられるの!? おかしい! ということですね。
私としては「二人っきりでロマンチックな海辺、ただの幼馴染みから恋人同士にランクアップするためのキス」を茶化されてみんなの笑いの種にされてしまった。で制裁は終了と考えていました。好きな男の子と「あたしたちだけは地獄行きだねウフフ」みたいなことを言っていたのに、近所のオッサンに「死ぬときゃ一緒だぜ」と言われて肩を抱かれるんだからもうそれでいいのです。オッサンたちが考えた血なまぐさくない精一杯の罰。
なにより島の人たちはもう誰も暴力とか、制裁とか、そういうのは見たくなかったのです。ああやってギャグにしてしまわないとオチをつけられない。死ぬ前に後味の悪い思いをしたくないと、それが一番の理由ですね。
復讐鬼「タオ/きらら」ちゃんは姉を殺されて、それでも許すことができたのか。は最終的には演じる役者さんに任せましたが、彼女も復讐をやめるきっかけを求めてたんじゃないかと思うんですよね。だって、あと数時間で自分も死んじゃうのに・・・。あと彼女もきっと、最期のお祭りに入りたかったんじゃないかと思うんです。
それでも私が「青海/神近」さんの立場だったら、もう少ししおらしく、シュンとしてるだろうなーと思ったりもするのですが、きっとそれすら島民たちは、クラスメートたちは許してくれないのでしょう。みんな笑ってみんな死ぬ、そういう強要が少なからずあったはずで、それも一種の罰です。
・Qいちばん好きなシーンどこ脚本書いてて楽しかったのは女子高生のシーンです。いつも脚本を一番に読ませる友人にも「イキイキしとんなあ(笑)」と言われてしまいました。私の人格を6つに分けたかわいい我が子たちです。いつもニタニタしながらシーンを見ていました。でも読んでて一番好きなのは依乃王里さん/末永全さん演じる「よっちゃん/ケンさん」が急にめちゃくちゃ喋りだすシーンです。ギャンブル依存症で妻と子どもに逃げられたその日に競馬で10万円勝って風俗に行って全部使い果たして翌日競艇で10万負けたって話の周辺ですね。「才能のある人」が羨ましくて、かといって「努力できる人」にもなれず、せめて「正しい人」でありたいと願っていながらどうしてもなれないクズの高潔な魂が見える瞬間で、うううと口をへの字にしながら書いたシーンです。俳優に実際に演じてもらってすごく嬉しかったシーンでした。
あとアヤネのけん玉炸裂のシーンは台本にはなかったけど大好きなシーンです。たくさんあります。自分の作品が好きです。みんなが演じてくれたものはなおのこと。
ほかにも、それこそ役者さんひとりひとりに触れて書けば途方もなくなるほど書きたいことはたくさんある、ような気もするのですが、まとまりに欠けそうですし、(主に前置きのせいで)もうそれなりの分量になってしまいましたので、今日はいったんここまでにさせていただきます。
インタヴュアーがいたらよかった・・・。またいつかポツポツ振り返らせてください。
終演後記③は書くかどうか・・・いまはまだ未定です。土木座もとっても楽しかったんですけどね、なんだかこう、振り返るって感じの演目でもないように思っていまして。バーン! 終演! イェーイ! そんな感じの演目・・・うまく言えないです。なにか書きたくなったらまた書きますね。
おやすみなさいのその前に、今年のギジレンについて少しだけ。
今年はなにするの?なにするんでしょうか。まだボヤボヤです。ギジレン5さいで劇団員みんなちょっと抜け殻になりまして。
一ヶ月劇場借りて、たくさんのお客さんに会えて、すごく楽しかったし、嬉しかったです。そんじゃあ次は2ヶ月やったろかーい! と言いたい気持ちは山々なのですが、ギジレン5さいってなんだったんだろう、と。
あ、決して悪い意味じゃないです。やったことにまったく後悔はないし、本当に、やってよかった。素敵な出会いもたくさんありました。だけどぼくたちはこんなことをずっと繰り返して行くのかな、と。これから3000人、4000人、やがて何万人のお客様に出会って、ずっと演劇を作っていって、そして終わったらまた少し抜け殻になって、なんでもない日常に帰っていく。今回で2300人、これが5000人になったとき、1万人になったとき、ぼくたちはなにか変われているんだろうか。それともどこかで頭打ちになるのかな。
劇団ってそういうものでしょ? と言われればそうかもしれませんが、だとすれば私たちがやりたいことは「劇団」の定義の外にあるのかもしれません。それをもう少しじっくり考えて探っていきたいと思っています。
難しい話ではないんです。ただまたワクワクするなにかをしたくて、それが単純に「もっと長く!」とか「もっとたくさんのお客さんに!」とか、そういう話なのかな? どうなんだろう? と考えているだけです。
実は先日とある劇場さんの見学に行きまして、「久しぶりにあんまり多くない人数で、小規模の公演をやるのも悪くないかな」と思って行ったのですが・・・決して悪い劇場じゃなかったんです。きれいだし、アクセスもいいし、小規模の公演をやるなら好条件の劇場だったんですが、なぜだかワクワクしなくて、そこは見送らせていただきました。
ワクワク、ワクワクってなんだろう。誰とやりたい、なにをやりたい、どんなことを、それが固まったら、また急に動き出すと思います。
そのときはまた、お付き合いいただけたら幸いです。
おやすみなさい。
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