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土木座ってどんなお話?

こんばんは。
たまにツイッタ—で「小劇場演劇って内容がわからないから観に行きづらいよね」という意見を見かけますね。
たしかに中身のわからない食べものは食べるの不安よね。何屋さんかくらいは知っておきたいよね。というのもごもっともだということで、12月9日から始まりますギジレン5さいの各作品の内容について少しご紹介していけたらなと思います。

本番観るまで情報入れたくないよ〜という方は読まない方がいいですね。
ギジレン観たことないけど気になってるよという方や、ネタバレOKだよという方はようこそいらっしゃいませ。

年代果林さんが作成されたこんな作品ですシートをお借りして説明したかったのですが、たいへんな機械オンチのため画像が上手く貼付けられず、文字でご説明します。

今日は年明けの1月3日から始まる「土木座」のご紹介です。


「土木座」ってどんなお話?

2016年に新宿のSPACE梟門で上演された初演版「土木座」の改訂版を上演いたします。
初演時、しばしば「土下座」だと思って観に来る方がいらっしゃいましたが、「土木座」です。「どぼくざ」と読みます。
チラシのあらすじはこんな感じです。

夜の土木工事はサーカスに似ている。
象のような重機を自在に操る男たち。
危険な足場を軽々渡る男たち。
煌煌と照らされた額の汗には土埃が浮いて黒くくすんでいる。
聞けば彼らの一人一人に夢があるという。
若い男が言った。「海が見たい」
中年の男が言った。「故郷に帰りたい」
老いた男が言った。
「あとは文字通り、心血を注いで掘ったこの穴に、わしらの血液を流し込むだけ。それで工事はおしまい」 そう言ってすぐに老人は穴に飛び込んだ。
男たちは奇声をあげながら老人のあとに続く。
真っ白なベールが翻って白鳥の群れが飛び立つようだ。
「ハッピーウェディング」「ハッピーバースデイ」
祝いの言葉を口々に、男たちはつぎつぎ死んでいく。
わたしは涙を奥歯で噛み殺して、彼らに大きく手を振った。
かつてこの穴に埋まっていた祖父が、小さく笑ったような気がした。


ギジレンの転機となった今作品。
三姉妹が離散し、それぞれ土木作業員たちに出会い、やがて故郷に戻るまでを描いたguizillenを代表する土木ファンタジーがいま、甦る。


わかるようなわからないような、ですね。
ある村に暮らす三姉妹が祖父を亡くし、長女は村に残り、次女は都会へ。そして三女は遺言を破って放浪の旅に出るところから物語は始まります。姉妹はそれぞれ「土木座」と名乗る不思議な穴掘り集団に出会い、彼らとの交流と穴堀りを通じて成長したりしなかったり・・・そんなお話です。


設定・世界観

世界観は妙な感じです。
「ブドリ」と名乗る謎の人物が祖父の山でなにかの機械を作動させたことで、祖父は死に、村は火山灰に覆われます。
ここまで開幕30秒。

三姉妹が暮らしていた村は牧歌的な雰囲気の村。
長女はそこに残って、祖父の墓守をしますが、「土木座」によってその墓を掘り返されてしまいます。
婚約者も亡くし、失意の中彼女が出会ったのはなんと「婚約者の妻」。病床の妻を看護しながら、傍若無人の土木座たちの悪行と戦う・・・。踏んだり蹴ったりですが、彼女は負けません。なぜなら彼女は「長女」だから・・・

次女が向かうのは、メァンハッテァン(表記ゆれあり)という大都会。建築デザイナーや読者モデル、動画投稿者にケバブ屋さん、いろんな種類の人たちが暮らしています。
うっかり「土木座」が掘っていた穴に落下した彼女は、言われるがままに彼らと共に穴を掘り始めますが、ひと月して給料がもらえないことに気づきます。なぜお金がもらえない穴堀りをしているのか? 彼らが穴を掘る理由とは・・・

三女は旅の方々でいろいろなモノに出会います。町を守るゴーレムと戦ったり、飛空挺に乗って大空を飛び回ったり・・・大冒険です。彼女がそうして世界を回る理由は「ローソンのない町」を探すため。祖父の遺書に書いてあった「ローソンでバイトしろ」という言いつけを破るために、世界中を旅して回るのですが、さすがは大手チェーン、どこに行ってもローソンはあります。やがて山脈に囲まれたローソンのない「しんきろうの町」に辿り着いた彼女が出会ったのは「海が見たい」と話す少年と、そして「地中海」を夢見て穴を掘る土木座たち。旅の終着点で彼女が得たものとは。


こんな具合に、無国籍的で文化のバラバラな妙な世界の物語です。
そして「土木座」っていったい何?

土木座は穴堀り人夫の集団で、一般的な人々が持つ「モラル」「常識」と言ったものをほとんど持ち合わせていません。
盗み、略奪は日常茶飯事。他人に迷惑がかかることを何とも思っていません。すべてにおいて最優先は「穴を掘り完成させること」各々が独特な死生観を持ち、穴堀りの先に何かの夢を見ている。そんな存在です。
世界各地にそんな集団が居て、基本的な生態系は同じですが、細かい性格や夢が微妙に異なります。カワラバッタとショウリョウバッタくらいの違いです。


ひとびと

作品のタイトルは「土木座」ですが、お話は三姉妹が中心になって展開されます。

長女のオリカは真面目なお姉さん。面倒見がよく、勤勉で、責任感がとても強い人。村の人からの人望も厚く、次女からも慕われていますが、きかんぼうの三女からは「口うるさい」「世間体ばかり気にしている」と言われてしまいます。
村の外から越してきた貴族の青年と婚約していますが、そのことは妹たちには隠しています。
妹たちの親代わりだったことからくる恥ずかしさか、後ろめたさか、貞淑さ故でしょうか。

だからこそ粗野で下品な土木座たちと長女は人と宇宙人くらいにかけ離れていて、その衝突がとってもハチャメチャでおかしいんです。

演じるのは青柳糸さん。彼女の深く美しい声を聞いてすぐに「あ、この人はオリカだな」と思いました。
青柳さん自身とても志の高い方で、とても良い演技をされるのですが、常に向上心を持っていろいろなことに勇ましく挑む姿はとても美しいです。


次女のマーサは内気であまり友だちのいない変わり者。だけど誠実で、ウソをつかないから長女からは信頼されています。
「暗くて、本ばっか読んでて、お風呂に入らない」と三女からは見られていますが、後ろ向きだったりネガティブだったりというよりは、単にマイペースな人なのです。
彼女は都会に出て、粗暴でお祭り騒ぎが大好きな土木座たちと出会いますが、案外すんなり彼らの輪の中に入っていきます。彼女の目には「乱暴だけどいい人たちだ」と映ったようです。
しかし行きつけのケバブ屋(食料雑貨店)が彼らに襲撃される現場を目の当たりにして、彼女は彼らに万引きや強盗をやめるように呼びかけますが・・・お話は意外な展開を見せていきます。

演じるのは田村友紀さん。guizillenの出演常連、初演からの続投です。
彼女は決して器用な方ではありませんが、不器用ながらににじみ出る人の良さと、うっかり出てしまう「変なクセ」「変な動き」がとってもコミカルで、口ベタだけど根が優しいマーサにピッタリはまっています。
なにより次女のマーサ自身も忘れていた「夢」であるシンガーソングライターは田村さんだからこそ。
彼女の歌には、今まで出会ってきた役者さんの中でトップクラス、いえトップの「ソウル」と「人間くささ」がこもっています。必見です。


三女のイリナは快活で、直情的。小さな体で元気いっぱいぴょんぴょん動き回ります。
そんな三女に残された遺言は「ローソンでバイトしなさい」
なぜ? 納得のいかない三女は姉の制止を振り切って旅に出てしまいます。
姉たちは三女のことを案じていますが、もともと行動力のある三女は順調に冒険を進め、ひとりでゴーレムを討伐できるほどにはレベルアップしています。剣技地すり残月も習得済み。しかし敵はローソン、大体の町にはローソンがあります。彼女の旅の行方は・・・

演じるのは西連寺亜希さん。小さな体のどこからそんなパワーが出てくるのかという程の大出力です。かわいらしい見た目とは裏腹に飛んだり跳ねたりモンスターと死闘を繰り広げたり汚い言葉を吐いたりと大立ち回りです。彼女の魅力はとにかくその真っ直ぐな行動力。彼女自身のバイタリティがそのままイリナに乗っかって、非常に魅力あるヒロインを演じています。

彼女だけが祖父の遺言を破るためか、すこし異質な物語になっています。
「海が見たい少年」と「地中海を目指す土木座」との出会いが彼女自身にどんな影響を与え、そして彼女はこれからどんな人生を歩んでいくのか、そんなシーンで土木座は幕を下ろします。


「枯れ木の妻」という人物
長女の婚約者ケビンの正妻オリビア、通称枯れ木の妻は重篤な病に冒され、ほとんど寝たきりでかろうじて生きています。
婚約者の妻、という衝撃的な肩書きにもちろん長女も狼狽しますが、ケビン亡き今、彼女を看護できるのは長女オリカだけ。ケビンとの関係性を隠しつつ、オリカはオリビアの看護をします。
嘘をつく自分と、死にゆく彼女と、そして今日も村を荒らす土木座たちと・・・そんな狭間でオリカはどう変わっていくか、行くべきなのか・・・。

演じるのはあおのゆきかさん。彼女の眼差しには「見透かされている!」と思うような深い洞察と思慮があります。「良い人」を演じる長女にはなかなか辛い相手ですね。徐々に変わっていく長女との関係性と、その終わりは決して多くの言葉では語られませんが、それ以上に多くの対話があって、とても美しい。あおのさんと糸さんの「言葉少なに多くを語る演技」がとーーっても輝く部分ですので、楽しみにしていてくださいね。
名前の由来は「オリカ」と対になるから「オリビア」。シンプルですね。

初演ではキャスター付きベッドに乗っていたオリビア、今回は可動式人間黒子ベッドに乗って登場します。
再演でさらに原始的に。これは退化か、進化か。


「穴堀り少女リャン」という人物
新キャラクターです。メァンハッテァンの土木座たちの穴の中で、彼らと共に穴堀りをしている女学生(中学生)のリャンちゃん。彼女は土木座たちと一緒にいますが、実は土木座ではありません(ネタバレ)
ただの中学生なのです。学校か家庭か、なにか思春期っぽーい事情から親元を飛び出し、土木座に憧れて付いてまわっている少女。
演じるのはどんちゃんこと宮下真実さん。大暴れする男たちにくっついて無邪気に跳ね回る姿(プリティ)と、そこから一転、仲間だと思っていた土木座たちに置いていかれてしまったときの、寄る辺なく儚い演技、実はまだ彼女のシーンは生まれたばかりなので私も楽しみにしているところなんです。楽しみ楽しみ。どんちゃんなら大丈夫。
彼女との出会いを通じて、次女のマーサがどう成長して行くか、リャンちゃん自身もどう変わっていくか、とってもシンプルなお話だからこそ、「お芝居」で見せるチャンスが盛りだくさん。これからぐんぐん魅力的なシーンになっていくことと思います。
名前の由来は「梁」。建築関連の名詞だけど、梁は地上にあるものだから、地下や穴堀りとは違うものということで。
地上人代表としてリャンちゃんと名付けました。中国姓だけど、下の名前か姓かは作中では不明。人種のるつぼのメァンハッテァンだから、どっちでも不思議はないですね。


土木座について
個体差はあれど、上述の通り穴を掘る無法者たちの集団。演じるのはわんぱくな男の子たち!
初演版から大幅に人数を増やして、舞台上で消費されるカロリーが格段に上がりました。
真冬の劇場を、暖房いらずで乗り切るのが目標です。
「ディズニーランドみたい!」という謎の好評をたまわった「ケバブ屋襲撃のシーン」もパワーアップして帰ってきました。初演を見た方にはわかる「例の鳥」のシーンも、人海戦術でパワフルに楽しくやっています。
なにかにお悩み中の方は土木座たちを真似して見るのもいいかもしれませんね。
他人の迷惑顧みず、自分のためだけに暴れ回る。良い人じゃないけど、でもきっとみんな心のどこかで羨ましい。
そんな存在が土木座です。

彼らにも名前がありますが、作中で語られるのはごく一部。
長女の出会う土木座は「ポドゾル」「チェルノーゼム」「岳」など地質や土壌に関わるお名前。
次女の出会う土木座は「リゲル」など、星にまつわるお名前。
三女の出会う土木座は「メディオ」と「テレニオ」合わせると地中海になります。
みんなが穴堀りのその先に見ている風景が名前の由来になっているんですね。
知らなくてもいい情報でした。


こんな作品ですシートに当てはめるなら・・・


・コミカル? シリアス?
コミカルです。割とワイワイやってますし、役者さんにもかなり自由にやってもらってます。

・すっきり? ぐるぐる?
すっきりもぐるぐるもしないと思います。ただたくさんの人の圧を浴びて、嵐のような時間を過ごしてもらえたら。

・頭使う? バカ騒ぎ?
気楽に観てもらえたら嬉しいです。

・友だち誘える? 一人向け?
どんどん誘ってください。

・子どももOK? お色気あり?
小学生でも大丈夫です。初演版では中学生の子たちが楽しんで何度もリピートしてくれました。

・役者沢山? 少数精鋭?
山盛りどんどんのわんぱくボーイたちの中に、ステキなお姉さんたちが5人混じってます。

・空間広め? 臨場感あり? 豪華装置? 簡易舞台?
人間が全力で走り回れるように、舞台上にはなにもありません。

・ファンタジー?
魔法とかお姫様とかは出てきませんが、起こっている出来事は割とファンタジーです。
あ、いえ、ゴーレムとか飛空挺が出てきてるのでファンタジーでした。ファンタジーです。

・人が死ぬ?
たくさん死にます。三姉妹は全員生き残ります。

・群像劇?
三姉妹とその周辺の人々のお話です。

・ダンス?
しません。が暴れまわったりします。

・殺陣?
しません。が暴れ回ったりします。

・家族もの
姉妹ものです。

・学校もの
ではないですね。

こんなところでしょうか。
また加筆するかもしれません。

あなたの観劇史に残る作品になりますように。
お待ちしていますね。
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